ハーブティーと聞くと、『神秘的で奥が深いイメージ』を持つ方も多いかもしれません。
そこがハーブティーの魅力でもあるのですが、
どうも「難しそう」「おまじないっぽい」などと敬遠されがちです。
では、次のハーブはどうでしょう?
ショウガ、シソ、ウコン、ラベンダー、カモミール、レモン、ゆず。
そう、一般の家庭にあるものばかりですよね?
実は、ハーブは私たちの生活に根付いており、それをティーにすることは全く自然のことです。
アロマの香りや有効成分を持つハーブティーは、人に癒しを与え、世界中で愛されています。
今回はそんなハーブティーの基本について、効果や種類、選び方などについて解説します。
もくじ
ハーブティーとは何?
ハーブティーとは、香りのある植物(ハーブ)を乾燥または生のままで抽出した飲み物を指します。
もし私たちの心身に不調があったとき、ハーブティーが体内に優しく染みわたり、緩やかに回復に導いてくれる存在なのです。
では、ハーブティーはどんな効果が期待できるのでしょうか?
アロマセラピー効果
甘い香り、スパイシーな香り、涼しげな香り、木の香り。
ハーブティーから揮発したわずかな植物化学成分が、嗅覚を通じて脳まで届き、穏やかなアロマセラピー効果を発揮します。
例えば、カモミールのアロマセラピーの効果は、心身ともにリラックスさせ、安らかな眠りを誘います。
その他ハーブティーのアロマテラピー効果には
- 集中力を高めたり
- 免疫力を上げたり
- 食欲の増進
- 性欲の回復
- 気分を高める
- 女性ホルモン濃度を高める
など、体調に合わせてハーブを選ぶことで、さまざまな効果を期待することができます。
成分効果
ハーブティーに溶け出す成分には、薬効だけでなく、滋養に富み、ビタミン、ミネラル、微量元素のような治療効果のある様々な成分を含んでいます。
薬効成分には、精油、タンニン、粘液、アルカロイド、苦味質、フラボノイドなどが含まれます。
ハーブに含まれる成分の効能について、少し学んでおきましょう。
精油
精油は芳香と味の源です。
精油にはすべて殺菌、抗菌作用のある物質が含まれ、多くの感染症と戦える体を作ります。
また、カモミールやヤローなど多くの精油には、消炎作用(炎症を消す)や鎮痙作用(けいれんを鎮める)があります。
タンニン
タンニンの主な薬効は収れん作用です。
タンニンが皮膚のアルブミンと結合すると、細菌からの抵抗力がある保護膜を作ります。
細菌が消化器系や生殖器系などに近づくのを防ぎます。
苦味質
苦味質は主として消化管に働きかけ、『胃腸の消化液や酵素』や『肝臓の胆汁』を分泌させます。
以上より、食欲がアップしたり、消化吸収が良くなります。
また、苦味のある多くのハーブには免疫系に働きかけるものや神経系統にリラックス効果をもたらすものがあります。
有名な苦味強壮ハーブは、ダンディライオン、バードックルート、ローズマリーなどがあります。
サポニン
サポニンで薬効のある植物に多く、マレインの去痰作用、ホーステイル(スギナ)の利尿作用などがあります。
注目なのは、ステロイドサポニンで、卵巣や精巣や副腎など性ホルモン(エストロゲンやコルチゾン、コレステロール、プロゲステロン)と構造や機能が似ています。
トリテルペノロイドサポニンは、体内ホルモンの働きを正常化し、ストレスに打ち勝つ作用があります。
ホルモン正常化効果の含まれる薬草ハーブ・・・シベリアンジンセン、ソウパルメット、リコリス
フラボノイド
多くのフラボノイドには利尿作用があり、抗酸化・鎮痙・消炎・殺菌作用のあるフラボノイドもあります。
ビオフラボノイドは血管壁の強化や毛細血管力を上げ、ビタミンCの吸収や代謝機能を高めます。
ビタミンCやフラボノイドを含むハーブの代表例:ローズヒップ、パセリ、ネトル
紅茶との違いは?
ハーブティー事典やメディカルハーブ安全性ハンドブックによれば、紅茶・緑茶・烏龍茶は、ハーブの一種とみなされ分類されていますが・・・
厳密に言うと、紅茶は『ハーブティー』ではありません。
紅茶とは、ツバキ科ツバキ属の茶樹チャノキ(学名:Camellia sinensis)の葉を発酵させたもの。
ツバキ科のチャノキから作られたものは「お茶(ティー)」に分類され、それ以外の植物(その他ハーブ類)から製茶したものは「ハーブティー」と分類されています。
参考元:農林水産省
よって紅茶は「お茶(ティー)」、チャノキ以外の植物のお茶は「ハーブティー」という違いとなります。
紅茶(黒茶)と同じチャノキから作られる、緑茶、ウーロン茶(青茶せいちゃ)、白茶はくちゃ、プーアル茶の5種は、お茶(ティー)ということです。
また、そのほかの違いとして、紅茶はカフェインが含まれる嗜好品であることに対し、ハーブティーはカフェインレスもしくはノンカフェインの健康食品であることが挙げられます。
ハーブティーの安全性
ハーブティーは適正な量を飲み続けることによって、ゆっくり効果が発揮されるものです。
しかし、直接体内に取り込み、心と体に影響を与えるハーブですから、注意も必要です。
初心者のうちは、ハーブ事典やガイドブックなどを持ち、注意点や効果を確認する習慣をつけましょう。
- 過剰に飲み過ぎる方
- 相互作用がある薬を服用中の方
- 妊娠中・授乳中の方
- アレルギー体質の方
- 持病や機能障害がある方
以上に当てはまる方が禁忌のハーブティーを飲んで、副作用を起こしたという報告もあります。
ハーブティーを飲む前は、必ず原材料を確認し、医師のアドバイスを聞いてから判断されてください。
参考>>妊娠中及び妊活中の禁忌ハーブティー
参考>>【一覧】ハーブティーの効能と禁忌、用語集
ハーブティーの飲み方・作り方
ハーブティーを味わうときは、まずカップの中の風景を楽しみ、香りを深く吸い込みながら、口の中で転がすようにゆっくりと飲みましょう。
色、香り、味わいのすべてを体内に取り込むような気持ちで楽しむのがコツです。
また、ハーブティーには成分が強くて2週間以上、飲んではいけないものもあります。
1~2週間飲んだら1週間休むなどして、免疫をつけすぎないようにしてください。
季節に応じて飲むものを変えたり、生理周期に合わせて飲むなど、取り入れるのも良いかと思います。
参考記事>>ハーブティーの効果的な飲み方
ハーブティーの入れ方は、紅茶に似ており、主に3パターンあります。
お湯出し(浸出液)
お湯出しはハーブの葉・茎・花など柔らかい部分を使います。
ホットティーはティーカップに熱湯180mlにつき、軽量スプーンでドライハーブ小さじ山盛り1杯が目安です。
アイスハーブティーにする場合、氷を入れるため、2~3倍濃いめに作ります(お湯はホットの半分~1/3に減らす)
水出し(浸出液)
水出しはお湯同じく、葉・茎・花など柔らかい部分を使います。
水で浸出させることにより、カフェインやタンニンの量が少なく作ることができるため、低カフェインのマテがよく使われます。
小花のエルダーフラワーもしっかり色・風味を浸出できるのでお勧めです。
分量は、ドライハーブ6gに対し、水200mlがめやす。
煮出し(煎出液)
煮出しは、樹皮、種子、根、根茎、木の実といった植物の堅い部分を使う場合の方法です。
多くの成分を抽出するために、火にかける必要があります。
まず乳鉢などで叩きつぶしたり、生なら刻んだりして、水の入った鍋に入れて沸騰させます。
ふたをして10分ほどトロ火で煮出し、こします。
分量はドライハーブ10gに対して水500mlを基準としてください。
参考記事>>ハーブティーの基本の作り方(動画あり)
ハーブの種類と選び方
ハーブティーの種類を紹介します。
【生育方法】野生か有機か
野生種(ワイルドクラフト)・・・収穫するまで手を加えていない自生もの。ハーブの中で最も上質で、成分が多く、香りが高い。
有機栽培種(オーガニック)・・・化学的に合成された農薬等を使わず、有機的に栽培されたもの。
慣行栽培種(スタンダード)・・・農薬や化学肥料を使用したもの。
できるだけ野生ハーブを、もしくは農薬の少ない有機ハーブを選ぶと安心ですね。
【状態】生かドライか
ハーブの状態
1.フレッシュハーブ(生)
2.ドライハーブ(乾燥)
の2種類があります。
目的に応じて選びましょう。
見た目や香り重視ならフレッシュハーブを、薬効や保存性の高いものならドライハーブが良いでしょう。
【包装】の仕方
さらにドライハーブは、
- シングルティー(1種類のハーブティー)
- ブレンドティー(数種類のハーブティー)
- フレーバーティー(香り付ハーブティー)
の3種類に分かれ、
- リーフタイプ(茶葉タイプ)
- ティーバッグタイプ(小分け)
で包装されます。
ハーブのアロマ効果を得るには、香り付きのフレーバーティーは不自然であり、質も落とした茶葉が多いのであまりおすすめしません。
割高にはなりますが、手間を考えるとブレンドされたティーバッグタイプはどこでも気楽に使えるので勝手が良いかもしれません。
また、すきなシングルティーをいくつか常備しておくと、そのときの体調に合わせてブレンドすることができますよ。
選ぶ手順
それでは、ハーブティーの選び方の手順をみていきましょう。
1.ハーブを選ぶときは、まず食用であることを確認しましょう。
ドライフラワーやポプリは、ティー用を同じに見えることがありますが、着色・着香がされている場合があるためです。
2.学名をチェックします。
実は同じ植物でも、複数の一般名称があるため、販売店によって名前が違う場合があるので、学名を調べます。
例えば、チェストツリーは、チェストベリーと呼ばれることもありますが、学名はAgunus Castosで、世界共通です。
3.原産国や部位をチェック
例えば、フランス産のペパーミントはまろやかで、中国産はメンソールが強いといわれています。
また、ハーブの部位は花、葉、茎によって働きが異なる場合があるので、チェックしましょう。
4.信頼できる専門店やメーカーを見つける
ハーブ保存のレベル、商品の回転率、店員がハーブにどれだけ専門的知識を持っているか、日頃からチェックし、高く評価できるお店を行きつけにすることです。
また、信頼できるメーカーを見つけることも、ほかのハーブにチャレンジしやすくなります。
商品を眺めていると、ついいろいろ欲しくなってしまいますが、開封したての新鮮な味わいを楽しむために、少しずつ購入することがお勧めです。
参考記事>>【厳選】妊活中におすすめのハーブティー専門店